研修・イベント
屋久島研修出張 レポート2日目

前回に引き続き屋久島研修出張の2日目のレポートです。訪れたのは白谷雲水峡から西部林道です。今回の屋久島研修出張ではツアーガイドさんにもついてもらい、屋久島について多くの質問をすることができました。
1日目のレポートはこちらから
白谷雲水峡ツアー
2日目はまず屋久島の北東部、白谷雲水峡をトレッキングしました。標高約600~1050mに位置するこのエリアでは、林道の入り口付近に照葉樹林帯に位置するイスノキ、ツバキ、バリバリノキといった常緑広葉樹、標高が500m超えたあたりからヤクスギ、ツガといった針葉樹を観察することができました。

白谷雲水峡から標高860mの「苔むす森」にかけて山道を登りましたが、足元はすべて花崗岩が露出し、土が一切なく、あらためて屋久島の特異的な環境を実感することができました。
屋久島は標高差があることで気温の差も大きく、北海道から沖縄までの植生を有しています。とにかく雨の多い島でなので常に水が流れ続けており、空間湿度だけでなく土壌中の湿度が高いことも感じられました。 白谷雲水峡は杉などが生息しており、トレッキングコースの足元は岩が多くありました。

苔むす森
トレッキングコースの最終目的地は標高860m付近の「苔むす森」です。もののけ姫の森のモデルにもなっていて、岩も植物もすべてが苔に覆われた圧巻の景色でした。山の地面の中を水が流れており、湿度が高いため苔が多く生えているそうです。トレッキングの開始時間が早かったため私たち以外に誰もおらず、森の静けさを感じることができました。
「苔むす森」という名前のスポットとなるだけあって石も木も一面に苔がむしていました。偶然にも前日の大雨と当日の晴れが重なり、雨に濡れたコケがキラキラ輝いている様子がとても綺麗でした。
以前、仕事の植栽工事で苔庭の補修を行ったことがありますが、自然な苔を観察するとやはり人が作った庭は人工的な印象が否めないと感じられました。今後、苔庭を造ることがあれば、より自然に近い苔庭を作ってみたいと思いました。

二代杉
道中、江戸時代に伐採された屋久杉の切り株に新しい種が落ち、それを土台とし成長している二代杉や多種多様な苔が見られました。

七本杉
七本杉はトレッキングコースで最初に出会った屋久杉でした。上の枝が七本に分かれていることが名前の由来だそうですが、現在は五本ぐらいになってしまっています。実際に見たときも圧倒されるような大きさだと思いましたが、写真をみるとさらに大きく感じます。

くぐり杉や沢の水
倒木の上に杉が着生し、成長した後に倒木が腐ってなくなったことで空洞ができていました。実際にくぐることができました。

屋久島は水がきれいなためトレッキング中に一口飲むことができました。水質がよく超軟水であるため口当たりが柔らかく甘く感じました。湧き水を一晩冷蔵庫で寝かせ、味をなじませることでよりおいしくなると屋久島の方から教えてもらいました。
江戸時代の切り株
屋久杉は樹脂が多いため腐りにくく、抗菌作用があり、虫がつきにくく長持ちするという特徴があります。江戸時代の切り株の中心は空洞ですが、下のほうを手で叩いてみるとまだ固く腐ってはいませんでした。昔は夜中にこっそり杉を盗む「盗伐」があったそうで、切られた杉は屋根瓦などに使われていたそうです。

西部林道ツアー
午後は西部林道ツアー(標高100~400m)に参加し、世界遺産にも登録されている世界最大級の照葉樹林を散策しました。天気の影響か午前に感じた森の雰囲気がうって変わり、明るい雰囲気の森となっていました。

屋久島の西部には、人為的な影響をあまり受けていない照葉樹林が広く分布しています。標高200mに位置するこのエリアでは、タブノキ・スダジイといった常緑広葉樹と、山道を下っていくにつれ現れるクワズイモやガジュマルといった亜熱帯の植生を観察することができました。

西部林道の基盤も花崗岩となりますが、照葉樹林帯のため落ち葉や落枝といったリターが多く見られました。植生においても森林更新が行われ、林床にも2~3m程度の中木が生育しており、豊かな森林を形成していました。下写真右の花崗岩の断面の上には植生が着生し森ができています。
同じ島内の隣接する森林でも生育している植生と、その植生が生み出すリターや腐葉土、土壌により自然環境に多様性が生まれていることを目に見て感じることができました。植物だけではなく生物多様性にとっても土壌環境は大切だと感じました。

沢の近く大きな岩に寝転びみんなで休憩をしました。緑に囲まれて木漏れ日を浴びながら水が流れる音がする中で岩の上に寝転ぶ体験は、大自然と一体となったようでとても気持ちが良く、幸せな時間でした。

▼巨大な花崗岩

ヤクシカとヤクザル
このエリアではヤクシカやヤクザルといった動物の群れも観察することができました。ヤクシカの親子に限界まで近づいてみたり、ヤクザルが毛づくろいしている姿を夢中になって観察しました。とてもリラックスした体勢で毛づくろいをしてもらっている姿が面白く、子ザルが親ザルと寄り添って歩くのもかわいらしく見ていて飽きませんでした。


次回は最終日の3日目についてご紹介します!