研修・イベント
屋久島研修出張 レポート1日目

若手社員3名にて、5/21(水)~5/23(金)の日程で屋久島に研修出張に行きました。毎年実施される野沢園の研修は、社員自身がどこに行って、何を学ぶかを自分たちで考え計画します。
今回研修出張に決まった屋久島は、世界遺産にも登録されたそこにしかない植生が見られる貴重な島です。標高によって異なる多彩な植生を観察し、普段仕事で使用している植物が、特異的な環境でどのように生育しているのか観察し今後の仕事へ活かすことを出張の目的としました。
今回は1日目に訪れた場所についてご紹介します。
屋久島について
最初に屋久島について説明します。屋久島は、九州最南端から南海上60kmほどに位置する、周囲約105km、面積約503K㎡のほぼ円形の島です。九州最高峰の宮之浦岳(1935m)をはじめとし、1000mを超える山が30座以上連なる山岳島としても知られています。
屋久島が位置する北緯30度線は、ちょうど亜熱帯と温帯の移行部に位置し、種子島とともに熱帯に本拠を有するマングローブ林の自生地の北限にもあたっています。低地では南に見られる亜熱帯~照葉樹林の植生、高地では北方で見られる冷温帯の植生(スギ等の常緑針葉樹林帯)を観察することができます。これらの異なる植生帯が垂直に分布してみられることから、ユネスコの世界遺産、生物圏保存地域、日本の天然記念物、原生自然環境保全地域をはじめとするいろいろな保護の網がかけられ、島内の約95%を占める森林のほとんどは現在国有林となっています。
屋久島を他の南西諸島の島々と比べたとき、最も際立った特徴は花崗岩の隆起によってできた島という点です。屋久島を作っている花崗岩は大きな正長石の結晶を含む独特なもので、「屋久島花崗岩」と呼ばれています。植物は様々なミネラルを土壌から吸収しますが、花崗岩には塩基性成分が少なく珪酸分が多いため、風化しても植物にとっては貧栄養の土にしかなりません。屋久島の森林は極めて乏しい土壌環境の上に成り立っています。 今回の研修では普段植栽に使用している植物がこの特異的な環境でどのように生育しているかを観察してきました。

研修のスケジュールは以下です。
1日目 | 猿川ガジュマル園(標高約100m) |
2日目 | 白谷雲水峡(標高約600~1050m、苔むす森は標高860m)と西部林道(標高約200m) |
3日目 | 安房川の河口から照葉樹林の観察 |
猿川ガジュマル園
猿川ガジュマル園は屋久島の西部にあります。標高約100m以下のエリアは亜熱帯の気候となり、アコウやガジュマル、メヒルギといった亜熱帯特有の植物が多く自生しています。猿川ガジュマル園に行く経路は駐車場から10分程度山道を下ったところにあるのですが、山道の入口はタブノキのような照葉樹林が生い茂り、標高が下がりきったところで約100㎡ものガジュマルの群落を観察することができます。
岩の上に着生し、気根が岩を覆うように伸びたガジュマル
森の中を5~10分ほど歩いたところにガジュマルの群落がありました。まるで歩いているかのように気根が垂れ下がるガジュマルはこれまで見たサイズ感と比べ物にならないくらい大きく、その迫力に圧倒されました。

近くによると、幹の上から伸びてきた気根が手の届く高さにあり、木質化する前の細かい根が絡まった状態の気根を見て触ることができました。根が木質化すると枝や幹のように見えますが、「根」であるということを体感することができ、観葉植物の自然の姿を見ることができました。

そのほかの植物たち
インテリアグリーンとして普段扱っている植物たちも多く見られました。鉢植えで見ていると植物の生息している環境を忘れがちですが、標高や気候帯で変化する環境によって、生息している植物が明らかに違うということを改めて実感しました。
▼道路わきに生えていた大きなモンステラ

▼1枚の葉が両腕で抱えられるほどの大きなクワズイモ

▼岩から生えたオオタニワタリ

▼森の中を歩いている最中に見つけたシナモン

▼とても良い芳香のする花は、屋久島に多く自生するクチナシでした。

おまけ
スーパーで売られていたグローカルとサンスベリア
島で立ち寄ったスーパーでは、観葉植物のグローカルやサンセベリアが切り花のような状態で売られていました。屋久島ではグローカルをお墓にお供えしたり、切り花のように枝を花瓶にさして飾ったりするようです。ガイドさんに聞いてみたところ、お墓の花を絶やさないようにする風習があるそうで、グローカルなら花より傷みにくいとのこと。「なるほど」と思いました。

普段仕事で鉢植えとして扱っている植物が、切り花という違う形で売られていることが新鮮に感じました。また、スーパーのような日常的な買い物に使うお店で安価に売られていることから、観葉植物が鉢植えの状態よりも取り入れやすく身近なものになっていると感じ、観葉植物を扱う者として勝手に嬉しくなりました。
▼お店ではレモンマートルや森の中で見たシナモンの葉も売られていました

宿での夕食
屋久島はタンカン(柑橘)、首折れサバ、トビウオなどが名産です。なかでもトビウオのから揚げは、次の日も出てこないかなと期待するほどおいしかったです。屋久島に行ったらぜひ食べてみてください!

次回は2日目についてご紹介します!お楽しみに☆