植物

紅葉のふしぎ~Part1~

夏の暑さも納まり、寝心地の良い季節になってきました。

私が好きな‘秋’がすぐ近くに来ていることを感じます。

そして、植物と秋を連想させると思い浮かぶのが‘紅葉’ではないでしょうか。

紅葉は赤や黄色に葉が彩られ、私たちを魅了してくれます。

ではなぜ紅葉するのでしょう。じつは赤と黄色では色が変わるメカニズムが違うのです。

そこで今回は、黄色に変わる‘黄葉’について紹介したいと思います。

 

葉にはもともと、クロロフィル(緑色)とカロテノイドの一種のキサントフィル類(黄色)という色素が含まれています。クロロフィルは葉緑素ともいい、植物が光合成を行うために不可欠な化学物質です。

春夏はクロロフィルの量が相対的に多いので葉が緑色に見えているのです。

秋になり日が短く気温が低くなると、葉に含まれる栄養素を幹の方に回収するためにクロロフィルが分解され、消失します。緑色のクロロフィルが消失すると、隠れていたカロテノイドの黄色が目立ち、葉が黄色に見えるようになります。

黄葉する代表的な樹種としては、イチョウやポプラが挙げられます。

どちらも並木になっていることも多く、秋の並木道では黄色の絨毯が一面に広がります。

また、初秋に街を歩くと、一足早く紅葉している木を見かけるかもしれません。

その木はなぜ早く紅葉したのでしょうか。

早く紅葉する要因は、日がよく当たり、気温や湿度の変化が大きいことです。つまり、場所の違いだけでなく、1本の木の中でも葉の位置によって紅葉の時期や色の変わり方が変わるのです。日がよく当たる木の上部や外側の葉は早く鮮やかに紅葉し、日陰になる木の下部や内側は紅葉の時期が遅くなります。

今回は黄葉のメカニズムや時期についてお話しました。次回秋頃、紅葉のメカニズムや美しさについてお話できたらと思っています。

 

これから訪れる秋、黄葉している風景の中に足を運んでみてはいかがでしょう。

 

 

 

参考文献

堀大才・岩谷美苗(2002)『図解 樹木の診断と手当』農山漁村文化協会

嶋田幸久・萱原正嗣著(2015)『植物の体の中では何が起こっているのか』ベレ出版

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