秋の七草
まだ梅雨も明けないというのに、園内では早くも秋の気配を見つけました。キキョウ、ナデシコ、オミナエシ。秋の七草のうち3種が揃ってゆらゆらと。少しだけ涼しい気分になりました。
今回は秋の七草についてご紹介します。
秋の七草とは
秋の七草とは奈良時代の有名な歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)が、万葉集で詠んだ和歌に書かれた日本の秋を代表する7種の植物のことをいいます。萩(ハギ)・尾花(ススキ)・葛(クズ)・撫子(ナデシコ)・女郎花(オミナエシ)・藤袴(フジバカマ)・桔梗(キキョウ)が秋の七草です。春の七草が食用であるのに対し、秋の七草は観賞を目的とした植物とされています。
秋の七草の由来となった和歌
秋の七草の由来となった和歌はこちらです。
- 「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」
- 「萩の花尾花葛花撫子の花をみなへしまた藤袴朝顔の花」
※ちなみに朝顔は桔梗のことだと言われています。
秋の七草の植物の特徴
秋の七草の特徴を簡単に紹介します。
萩(ハギ)

萩はマメ科ハギ属の植物です。細くしなやかな枝を四方に伸ばし、初秋になると白や薄紅色の小さな花を咲かせます。風に揺れる姿が美しく楚々としていて、野趣と気品を併せ持つ花木です。花期は9〜10月で、秋の訪れを告げる代表的な存在とされています。
尾花(オバナ)〈ススキ〉

ススキはイネ科ススキ属の多年草です。9〜10月ごろ、銀白色の穂が風になびく姿は秋の風景の象徴とされ、お月見にも飾られます。ススキの別名「尾花」という名は、獣のしっぽに似た穂の形に由来し、古くから和歌や絵画の題材に使われてきました。日当たりのよい場所を好み、痩せ地や乾燥にも強く、河川敷や野原に自生します。
葛(クズ)

葛(クズ)はマメ科葛属のつる性多年草です。日本や東アジアが原産。8〜9月にかけて、紫色の花を房状に咲かせ、ほのかな甘い香りを放ちます。旺盛な生育力で野山や河川敷に広がり、日本の秋の野でよく見られます。葛の根は葛粉の原料として古くから利用され、葛根湯としても親しまれています。
撫子(ナデシコ)

撫子は初夏から秋にかけて、花弁の先が細かく裂けた繊細な花を咲かせます。色は淡紅色から白まであり、可憐で上品な印象を与えます。花名は「撫でたくなるほど愛らしい」姿に由来し、「大和撫子」という言葉の語源にもなっています。
細かく切れ込んだ花弁が特徴。「大和撫子」の語源となり、可憐さの象徴です。
女郎花(オミナエシ)

女郎花(オミナエシ)はスイカズラ科の多年草です。8〜9月にかけて、鮮やかな黄色の小花を多数咲かせます。名前の由来は黄色い花が「美女を圧倒するほど美しい花」と言われたことから。日当たりのよい場所を好み、丈夫で育てやすく秋の野を明るく彩ります。和風庭園やナチュラルなお庭にも使われます。
藤袴(フジバカマ)

藤袴(フジバカマ)は、キク科ヒヨドリバナ属の多年草です。8〜10月にかけて淡い紫色の小花を咲かせます。乾燥すると桜餅のような甘い香りを放つことが特徴です。古くは衣服に香りを移す香草として利用され、万葉集や平安文学にも登場します。日当たりと水はけの良い土地に育ちます。
桔梗(キキョウ)

桔梗(キキョウ)は、キキョウ科の植物です。秋の七草として万葉集に書かれた「朝顔」は桔梗と考えられています。開花期、初夏から秋にかけて紫色の星形の花を咲かせます。つぼみは風船のように膨らむ独特の形をしています。凛とした立ち姿と紫色の高貴な花色から、桔梗紋として家紋や意匠にも用いられ、武家文化とも関わりが深い花です。
