ソメイヨシノの花が白くなる ?

弘前公園ソメイヨシノ 野沢園ブログ 造園部

日本人にとってなじみのあるサクラ。その中で最も身近にあるのがソメイヨシノと呼ばれる品種です。ソメイヨシノは学術的にエドヒガンオオシマザクラの交雑した種間雑種を指します。全国的に植栽されているソメイヨシノは、エドヒガンを母親にオオシマザクラを父親に生まれた1本の種間雑種を栽培育成した品種であるとみられています。そのため日本全国にあるソメイヨシノはクローンであり、どれも同じ個体とも言えます。 

サクラの花色について

近年「東京近郊のソメイヨシノの花が白くなってきているのではないか」といわれることがあります。それは何故なのでしょうか。クローンであればどこに植えても同じ色の花が咲くのではないか? と思いますよね。今回はサクラの花色についてご説明します。

サクラの寿命について 野沢園ブログ

ソメイヨシノの花が白くなっている理由の一つとして、サクラの花の紅色に「アントシアニン」と呼ばれる色素が関わっていることが考えられます。アントシアニンは以前の記事「紅葉のふしぎ~Part2」でも触れていますが、日光と気温が大きく関係します。蕾が日光を受け、低温にさらされることで自分を守りアントシアニンの生成が促進されるのです。

ソメイヨシノの花は開花直前の蕾のころ、アントシアニンの量が最大となり最も濃い紅色となります。開花後は、アントシアニンが分散することで白くなっていきます。アントシアニンは低温で分解されにくい性質があるため、開花前後に低温が続くと淡紅色が長くなると考えられます。それに対し開花前後に暖かい日が続くと、花の色が白くなるのが早まると考えられます。 

弘前城のサクラの色は?

東北地方のソメイヨシノは関東以南のソメイヨシノに比べ、開花前後に低温が続くため花びらの淡紅色が残りやすい傾向があります。写真は以前撮影した弘前公園(弘前城)のサクラです。

弘前公園 サクラの色について 野沢園ブログ

弘前公園のソメイヨシノが綺麗なのは、大木古木が多いため満開が見事なのもありますが、淡紅色の花びらの状態が長く続くのも理由の一つかもしれません。 それに対しもともとあまり低温にさらされない西日本では、ソメイヨシノの花は「白色」に近い「紅色」に見えるといわれます。 

弘前公園ソメイヨシノ 野沢園ブログ 造園部

またソメイヨシノの花のアントシアニンは花が散る頃になると枝葉への流れが遮断され、花の中心部に集中し濃い紅色になります。そのため同じ木の中でも花の中心部の色を見ることで、花の新旧や寿命を知ることも出来るのです。 

まとめ

サクラの寿命について 野沢園ブログ 千鳥ヶ淵

近年、東京の平均気温が高くなってきていると言われています。そのため花が低温にさらされる時間が短くなってきており、アントシアニンの生成に影響が出てきているのではないかと考えられています。

ソメイヨシノの花色は「淡紅色」とされていますが、このまま過去の気温以上に春が暖かくなると、花色はより「白色」に近くなる可能性があります。同じような理由でリンゴの実が将来、綺麗に赤くならない可能性もあるといわれています。ソメイヨシノの花をよく観察してみると、花びらは何かを語っているかもしれません。 

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