サクラの木はどれくらい生きるのか?
梅の花が終わると、今度はサクラが咲くのが楽しみになりますね。サクラは毎年きれいな花を咲かせ、私たちを喜ばせてくれます。そんなサクラの木にも寿命があることを知っていますか?ここでは、サクラの木の寿命についてご紹介します。
品種によって異なるサクラの木の寿命

日本にはサクラの野生種が10種あります。この日本固有の野生種10種に加え、中国原産のカンヒザクラ等が掛け合わさって生まれた園芸品種で流通(栽培)しているものが100種程度、流通していないものを含めると数100種に上ると言われています。サクラの品種の数が断定できないのは、種間雑種を作りやすく新しい品種が生まれやすいためです。
サクラの仲間でも品種によって、そして環境によって寿命は変わってきます。 お花見の時期に見る一番身近な「ソメイヨシノ(染井吉野)」はあまり長生きではなく、樹齢50〜70年ほどで弱ってくることが多いと言われています。ヤマザクラ(山桜)やエドヒガン(江戸彼岸)などの品種は樹齢100年以上生きるものもあります。
近年、街路樹や公園でソメイヨシノの老木化が問題とされている理由は、戦後の復興とともに植栽され、既に60年以上を経過したソメイヨシノが多くあり、安全面を考慮すると植え替えを検討するべき時期にきているものが多くあるためです。
ソメイヨシノの寿命が短い理由

ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラ(大島桜)の交雑種(種間雑種)と言われています。そして全国に流通している「ソメイヨシノ」は、母親がエドヒガン、父親がオオシマザクラのもともと1本の「ソメイヨシノ」を栽培で増やした栽培品種であることが近年分かってきました。DNA解析の結果、もっとも原木に近いソメイヨシノは上野公園の小松宮像近くに現存しているものと推測されています。
1本の原木をもとに栽培され各地で植栽されたソメイヨシノは、すべて同じ遺伝子を持つ「クローン」のため、病害虫に弱いと共に病気が広がりやすく、寿命が短いとされています(ソメイヨシノのクローンに関する記事は野沢園ブログ「ソメイヨシノの実」でもご紹介しています)。
ソメイヨシノは枝や幹の腐朽が進行しやすい性質があります。枝葉が繁茂し元気よく見えても幹に洞があったり、きのこが生えているものを街中でも見かけることがあると思います。そのようにソメイヨシノ自体に勢いがあっても、幹や枝が支えきれなくなることも寿命が短いと言われる理由の一つと言えます。
また街路樹や公園など人通りが多い場所に植栽されること、根で根周りが踏み固められやすいことも衰弱する理由のひとつといわれています。
寿命100年超えのソメイヨシノ

そのようなソメイヨシノも環境条件が整い、適切な手入れを行えば寿命が100年を超えることもあります。有名なところでは弘前公園(弘前城)のソメイヨシノが挙げられ、最も長寿のもので樹齢140年以上と推測されています。
弘前は関東以南に比べて湿度や気温が低いため、腐朽が進行しにくく病気が進行しにくい環境です。それに加え、弘前公園では土壌改良や剪定を環境条件に合わせて行うことで、ソメイヨシノの生育環境を改善しています。
関東以南で同じような管理を行っても、環境が異なるため同様に長寿化が出来るとは言い切れません。東北地方に比べ高温多湿になる関東以南のソメイヨシノは、樹齢100年を超えるのはなかなか難しいのが現実です。
ソメイヨシノ以外のサクラの寿命は?

山に自生するヤマザクラや、彼岸ごろに花を咲かせるエドヒガンといった野生種は比較的長生きで、特にエドヒガンは樹齢100年以上、天然記念物にもなる樹木は1000年以上と推定されているものもあります。日本三大桜と呼ばれる「根尾谷淡墨桜(岐阜)」「山高神代桜(山梨)」「三春の滝桜(福島)」のように日本各地に残る「樹齢千年の名木」は、ほとんどがエドヒガン系です。
サクラが元気に育つためには、根や枝葉を広く張ることができる広い場所、水はけの良い土、風通しの良さ、そして適切な管理が大切です。公園や街路樹として植栽された木は環境のストレスが多いため寿命が短くなりがちですが、より整った環境では長生きすることも多いです。
適切な管理を心がけ、少しでも長くサクラが楽しめるようにしていきたいですね。皆さんも今年のお花見で、身近なサクラの木がどのような状態なのか観察してみてください。
